産地活性と地域活性はべつもの

私たちの住んでいる地域は古くから伝統工芸の漆器を生産しております。

木地師・塗師・蒔絵師など・・・多くの職人さんが漆器のお仕事に従事され、

地域全体が漆器の仕事に携わり生計をたてている・・・そんな地域でした。

時代の流れと生活スタイルの変化に伴い漆器の需要は急速に減少し、

産地全体の売上高はピーク時の半分以下という状況です。

そういう状況にともない、販売会社の倒産・廃業、職人さんの転職などなど・・・

漆器従事者は減少し産地の人口も6,000人から4,000人へと約2,000人の人口減となっております。

 

漆器従事者の平均年齢も高齢化し後継者不足は深刻です。

機械設備も当然のことながら老朽化し設備投資もままならないというのが現状です。

伝統工芸だけに家内制手工業の要素が強く生産する数量にも限界が生じ易い事と、

近年、職人さんの廃業や転職などの要因も重なり、

一時に受注が集中すると直ぐにオーバーフローしてしまうのが現状です。

 

その間、産地活性化や地域活性として様々な取り組みがなされ、

現在もいろいろなイベント等を企画して活性化に取り組んでいますが、

産地の活性化、地域の活性化としての効果はなかなか厳しいものがあります。

当然、こうした取り組みがなければ今よりも加速度的に

衰退していったことも間違いありません。

 

そんな中で私が一つ大きな勘違いをしていたのは・・・

〝漆器産地としての活性化が地域の活性化につながる〟と思っていたことです。

 

冒頭ご説明した通り、

この産地は漆器従事者が多く漆器にかかわるお仕事で生計をたてている方が多い地域。

だから、漆器の活性化・受注増こそ地域の方々の収入の潤いになると私自身は思い

取り組んできたつもりだったのですが、

全体としての考えの中では残念ながら少数意見でしかないのです。

そぅ・・・極端な事を言えば、仕事による活性化の発想は、

一企業の私利私欲にしか受け取られないという事なのです。

 

そこで感じたのは〝産地(漆器)活性と地域活性はべつもの〟ということなのです。

漆器の産地としての河和田地区ということと鯖江市の中の河和田地区という観点の違い・・・

 

そういった観点からの取組を今後は再考してみたいと思います。

 


最後までお読み頂きありがとうございます。

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