漆器が電子レンジに使えない事例

漆器って電子レンジに使えますか・・・

そんなお問合せを時たま頂きます。

答えは〝できません!〟

最近では電子レンジ対応の漆器もあるようですが、

一般的な漆器の場合ご使用いただきますと、

問題は二つのことが考えられます。

1.温める物が脂物の為に食材が高温となり、器の変形・塗膜の変色が生じる場合

2.塗物の塗膜にクラックが入り塗膜の膨れ・剥がれが生じる場合

今回は樹脂製の塗料塗装品の漆器を電子レンジにて検証してみました。

 

器に食材を入れ電子レンジで1分間加熱

加熱途中に電子レンジの中からは〝ピキピキ〟と音がします。

 

1分間加熱後食材を取り出し洗浄後器を検証

画像左側を見て頂くとお分かりの通り、

塗膜の膨れと剥がれが生じておりました。

 

漆器に限らず塗物は

電子レンジでのご使用には向かないようですので

ご注意して下さい。

 

表示による誤解

商品の取り扱い説明に記載されてる〝耐熱〟の文字。

よくよく考えてみると非常に曖昧な表記ですよね。

耐熱って…何度なの?

耐熱って…何の電化製品に対応しているの?

そうなんです。

業界としての明確な基準というものが決まっていないんです。

耐熱なんだから80度は大丈夫でしょう!

耐熱なんだから電子レンジも使えるでしょ!

耐熱の文字から過大解釈されて使われることで、

器に生じる変形、変色、剥がれ…

そうなんです。メーカー側が想定している〝耐熱〟と、

消費者が受け止める〝耐熱〟への認識の相違

幸いにも今までは大きなクレームになっておりませんが、

今後の事を考えると〝曖昧な表記〟は明確にしていかなければと…

そんな事を考えるこの頃です。

塗料って大丈夫なの…

お客様からのお問い合わせの中で、

〝塗料で塗った物ってなん大丈夫なんですか?〟

といった安全・安心に対するお問い合わせです。

食器(漆器)を製作する際に使われている塗料は、

ウレタン樹脂塗料を使用するのが一般できです。

これは、塗料を構成する成分が食品衛生法で定められた

基準値以下である為に安全性は担保されているものと

お考えいただければと思います。

一般の方が〝塗料〟って聞くと、

建築や自動車などの工業用塗料のように思われがちですが、

食器に使われるものですので、

この点につきましては塗料メーカーも

慎重になる部分です。

特に鉛やカドミュームなど重金属の含有量については

厳しく基準をクリヤーしております。

(成分分析検査等にて検証しております)

ただ、塗料という性質上、製作過程において塗料を塗りやすくする為に

有機溶剤の〝シンナー〟を含有させます。

製作の最終工程で高温にて焼き付け処理を施す為に

硬化した塗料膜には殆どシンナー成分は残らないのですが、

ごく稀に通常より含有量が増える事により、

臭いが残る場合がございます。

その場合は、重曹を混ぜた高温のお湯に浸していただく事で

かなり改善できます。

(完全に無臭にする事は出来ません。)

また、風通しの良い場所で直射日光が当たらない場所へ

放置して頂くことも改善策となります。

ご参考にしていただければと思います。

塗り物という認識は前提です

お客様からのお問い合わせで、

製造メーカーとして気づかされる事も多々有ります。

食器洗浄機に使っても大丈夫でしょうか…

何度の温度迄耐えられるんでしょうか…

電子レンジに使っても大丈夫でしょうか…

耐久的には何年ぐらいもつんでしょうか…

人それぞれ漆器に関しての認識は違いはございます。

基本的には塗り物であるということを

大前提として考えて頂きたいと思います。

 

近年ではメーカーとしての開発努力により

品質や耐久性や耐熱性は飛躍的に向上し、

食洗機等に対しての耐久性・耐熱性、

表面につきやすい傷に対する耐傷性についても

格段に向上しております。

ただ、陶器やガラスなどと違い漆や塗料といった薄い塗膜が表面に密着している為、

使用に伴う塗膜の剥がれは避けられません。

また、表面の硬度も陶器やガラスと比較した場合、

硬度が低い為に傷がつく事も避けられません。

 

食器洗浄機に使える…という事が

拡大解釈されて〝何にでも使える〟という

誤った認識につながっている事もございます。

 

そういった観点からも今一度

〝塗り物であるという認識〟は

ご購入・ご使用の際にはご留意頂けたらと思います。