漆器デザインの未来を拓く挑戦。お椀の「曲面」に革命を起こせるか?

皆様、こんにちは。株式会社末広漆器製作所の市橋です。
ここ越前では、梅雨の中休みでしょうか、蒸し暑いながらも時折強い日差しが照りつける日が続いております。
皆様の地域ではいかがお過ごしでしょうか。
さて、本日は、漆器の美しさを語る上で欠かすことのできない「加飾」、つまり絵柄や模様をつける技術の、未来に関わるお話をさせていただきたいと思います。伝統的な蒔絵などもさることながら、現代の漆器においては、より多彩な表現を可能にする印刷技術が重要な役割を担っています。しかし、その技術が今、大きな岐路に立たされているのです。
これは、私たちのものづくりの未来、ひいては産地全体の表現の幅を左右する、大きな挑戦の物語です。
この記事のポイント(約300字)
- 加飾技術の危機: 現代の漆器づくりに欠かせない「シルク印刷」は、職人不足や後継者問題により、かつてのような多色で複雑な重ね刷りが困難になっています。これにより、漆器のデザインの多様性が失われかねない危機に瀕しています。
- 機械化への挑戦と限界: 私たち末広漆器は、この課題を克服すべく数年前から印刷の機械化に着手しました。しかし、そこには「平面にしか印刷できない」という大きな壁が。漆器の最も象徴的な形である、お椀のような美しい「曲面」には、その技術を応用できなかったのです。
- 「曲面印刷」への挑戦: 現在、私たちはその壁を乗り越えるため、お椀のような丸みや、お重のような段差がある物にもダイレクトに、そして美しく印刷する新技術の開発に全社を挙げて取り組んでいます。
- 未来への布石: この挑戦の先には、これまでの漆器の常識を覆すような、自由で新しいデザインの可能性が広がっています。私たちの挑戦の詳細は、次回のブログでお伝えします。
漆器の彩り、その未来を脅かす静かな危機
漆器の魅力は、しっとりとした塗り肌の美しさだけではありません。そこに施された絵柄や模様、すなわち「加飾」があってこそ、その器は唯一無二の表情を持ち、私たちの食卓や生活に彩りを添えてくれます。
現代の製品づくりにおいて、その加飾を支える重要な技術の一つが「シルク印刷」です。版を使い、一色ずつインクを重ねていくことで、繊細で美しい絵柄を製品に写し取ります。しかし、このシルク印刷の世界もまた、他の伝統技術と同じように、「職人不足」と「後継者問題」という深刻な課題に直面しています。

かつては、何版もの版を寸分の狂いなく重ね、複雑で多色な絵柄を見事に表現する熟練の職人さんたちが産地にも数多くいらっしゃいました。しかし、今ではそのような高度な技量を持つ方は非常に少なくなり、「何色もの重ね刷り印刷」を依頼すること自体が困難になっています。これは、私たちがお客様にお届けできる漆器のデザインの幅が、どんどん狭まってしまうことを意味します。産地としての表現力が、静かに、しかし確実に失われつつあるのです。
新たな道を求めて。機械化への挑戦と、その先に見えた「限界」
「このままではいけない」。産地の一員として、強い危機感を覚えた私たちは、数年前からこの課題を解決すべく、印刷工程の「機械化」に踏み出しました。職人の技量に依存する部分を、機械で補うことができれば、より安定的に、そして多彩な表現を維持できるのではないかと考えたのです。
この取り組みは一定の成果を上げ、平面的な製品、例えばお盆や板状の素材に対しては、これまで以上に精細な印刷が可能になりました。しかし、私たちはすぐに、大きな壁、そして機械化の「限界」に突き当たることになります。
それは、「お椀のような、あの美しい丸みを持つ『曲面』には印刷ができない」という現実でした。
漆器と聞いて多くの方が思い浮かべる、あの手にしっくりと馴染むお椀の形。その最も象徴的で、最も美しいフォルムに、私たちが開発した機械では自由に絵柄を描くことができなかったのです。このままでは、漆器の魅力の半分も表現できない。平面への印刷技術が進歩しても、これでは片手落ちです。「なんとかして、この丸みに、自由なデザインを施したい」。その悔しさが、私たちの次なる挑戦への原動力となりました。
挑戦の最前線。お椀の「曲面」に、デザインの革命を。

そして今、私たち末広漆器製作所が全社を挙げて取り組んでいるのが、この「曲面」という大きな壁を打ち破るための、新しい印刷技術の開発です。
お椀のような完全な曲面、あるいはお重の隅のような段差がある部分にも、ダイレクトに、そして歪みなく、多色で美しい印刷を施す。言葉で言うのは簡単ですが、これは技術的に非常に難易度の高い挑戦です。素材を固定する方法、インクを均一に乗せる方法、曲率に合わせてデータを補正する方法…クリアすべき課題は山積みです。
しかし、もしこの技術が確立されれば、漆器のデザインは革命的に進化すると、私たちは確信しています。 側面から見返し(内側)まで、シームレスに続くグラフィック。 写真のようなリアルな表現や、繊細なグラデーション。 これまでの常識を覆すような、カラフルでポップなイラスト。
職人の減少という危機を乗り越え、むしろそれ以前には不可能だった表現さえも可能にする。それが、私たちの目指す未来です。
この挑戦が拓く、漆器の新たな可能性
この挑戦は、まだ道半ばです。私たちの末広漆器では、今まさに、技術者たちが頭を突き合わせ、試行錯誤を繰り返しています。失敗の連続に肩を落とす日もあれば、ほんのわずかな前進に、皆で歓声を上げる日もあります。
この技術が完成した時、漆器の未来はどのように変わるのか。お客様一人ひとりのオリジナルデザインのお椀や、企業の特別な記念品、あるいはアーティストとのコラボレーションなど、想像するだけで心が躍ります。
私たちの挑戦は、今まさに佳境を迎えています。 その具体的な成果や、開発中の機械が描き出す驚くべき表現の世界については…、また日を改めて、ご報告させていただければと思います。
続きは、次回のブログにて。
私たちの挑戦に、どうぞご期待ください。
株式会社末広漆器製作所 代表取締役 市橋
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