「お客様は神様」から「共に未来を創るパートナー」へ。末広漆器が考える、これからの関係性。

「お客様は神様です」の時代は、終わったのかもしれない。

皆様、こんにちは。福井県鯖江市河和田の、末広漆-器製作所、代表の市橋です。 暦の上では秋へと向かう頃ですが、ここ鯖-江市河和田では、お盆を過ぎてもなお、一向に衰える気配のない猛暑が連日続いております。皆様もお変わりなくお過ごしでしょうか。工房では、職人たちも汗を拭いながら、この夏の暑さに負けない熱意でものづくりに励んでおります。

さて、本日は、この季節の移ろいと同じように、静かに、しかし確実に変化している、私たち「作り手」と「お客様」との関係性について、そしてその変化の中で私たちが未来のために下した大きな決断について、お話しさせていただきたいと思います。

かつて、商売の世界では「お客様は神様です」という言葉が絶対でした。もちろん、お客様を最大限に尊重し、感謝するその精神は、今も昔も、そしてこれからも決して変わることはありません。しかし、その言葉が意味する一方的な関係性は、もはや今の時代のニーズに応えきれなくなっているのではないか。私は最近、そう強く感じています。

この記事のポイント

  • お客様は神様」から「共に未来を創るパートナー」へ。
    私たちは、作り手が一方的に商品を提案する時代は終わり、お客様と対等な立場で、共に課題を解決し、新しい価値を創造していく「パートナー」としての関係性が不可欠だと考えています。
  • カタログビジネスの限界と「共創」の価値。
    カタログから選ぶだけの商売は、情報が限定的ですぐに陳腐化してしまいます。お客様一人ひとりの深いニーズに応えるには、対話の中から共に開発し、共に市場を開拓していく「共創」のスタイルが求められています。
  • 技術の消失に、私たちはどう立ち向かうか。
    職人の後継者不足は、お客様の要望に応えるための「技術の消失」に直結します。私たちは、伝統の技の核心を、現代の「機械化」によって未来へ繋ぐこと、そして伝統の形に固執せず、新しい漆器のカタチを想像する挑戦を始めました。
  • 未来は、お客様と共に創り上げるもの。
    これらの課題は、私たち作り手だけのものではありません。お客様という最高のパートナーと共に知恵を絞り、挑戦していくことこそが、未来を切り拓く唯一の道だと信じています。

カタログから、対話へ。共に未来を創る関係性

かつての商売は、私たちが作った製品をカタログに載せ、お客様にその中から選んでいただく、という形が主流でした。それはそれで、利便性が高く、分かりやすい仕組みです。しかし、時代の変化と共にお客様のニーズは驚くほど多様化し、専門化しています。

  • 「こんな素材に、漆の技術を応用できないだろうか?」
  • 「うちの店のコンセプトに合わせた、オリジナルの器を開発したい」
  • 「この製品の、この部分だけを、もう少しこうして欲しい」

こうした具体的で、時には非常に難易度の高いご要望に、分厚いカタログは答えることができません。カタログに載っている情報はいわば「過去の成果」であり、すぐに陳腐化してしまいます。これからの時代に本当に求められるのは、お客様が抱える課題や、まだ形になっていない夢を、私たち作り手が深く理解し、技術力と情報力をもって、共に解決策を探っていく姿勢です。

そして、こうしたお客様からの高度で、時には困難なご要望に真摯に向き合うことこそが、結果として私たちの技術力を磨き上げ、スキルアップへと繋がります。その経験の積み重ねが、やがては新しいサービスや製品開発となり、未来の私たちの経営を支える、利益向上の太い柱へと成長していくのです。

それは、もはや単なる売り手と買い手の関係ではありません。同じ目標に向かって歩む「パートナー」。共に商品を開発し、共に新しい市場を開拓していく「共創」の関係。この対等なパートナーシップと、そこから生まれる共感こそが、これからの新しい仕事に繋がっていくのだと、私は確信しています。

失われゆく技と、私たちの覚悟。伝統を「未来の技術」へ

しかし、お客様と「パートナー」になるためには、私たち作り手側に、そのご要望に応えられるだけの確かな「技術力」がなければなりません。そして今、その技術力が、産地全体で失われつつあるという深刻な現実に、私たちは直面しています。

後継者不足は、単に作り手が減るというだけではありません。それは、先人たちが永い年月をかけて培ってきた、唯一無二の「職人技=技術の消失」に直結します。お客様から高度なご要望をいただいても、「すみません、それを作れる職人がもういないんです」とお断りせざるを得ない。これほど悔しく、情けないことはありません。

このままでは、私たちはパートナーとしてお客様の隣に立つことさえできなくなってしまう。その強い危機感から、私たちは二つの大きな挑戦を決意しました。

一つは、「伝統工芸の、機械化への挑戦」です。 職人の手仕事のすべてを機械に置き換えることは不可能です。しかし、その技の核心、例えば「均一な厚みで塗る」「寸分の狂いなく研ぎ出す」といった本質的な部分を解析し、現代の技術で再現することは可能かもしれません。これは、単なるコスト削減ではなく、失われゆきつつある伝統の技を、未来永劫、安定した品質で提供し続けるための、積極的な技術継承の形なのです。

そしてもう一つは、「伝統にこだわりすぎない、ものづくりへの挑戦」です。 「伝統を守ろう、守ろう」と、形ばかりを追いかけるから、かえって本質を見失い、身動きが取れなくなってしまうのではないか。私はそう考えています。漆という素材の可能性、先人たちが培ってきた美意識。その根幹さえ揺らがなければ、器の形や使い方は、もっと自由で、もっと現代の暮らしに寄り添うものであっても良いはずです。「新しい漆器のカタチ」を恐れずに想像し、提案していく。それもまた、伝統を未来へ繋ぐための、私たちの重要な使命です。

この課題は、お客様と共に乗り越える

ここまで、私たちの内なる挑戦についてお話ししてきました。しかし、これらの課題は、決して私たち作り手だけの問題ではありません。

私たちがどれだけ新しい技術を開発し、新しい製品を生み出しても、それを求め、共に育ててくださるお客様がいなければ、何の意味もありません。逆に、お客様の中にどれだけ素晴らしいアイデアがあっても、それを形にする作り手がいなければ、夢のままで終わってしまいます。

メーカーとお客様。そのどちらが欠けても、未来を創ることはできません。だからこそ、私は「お客様はパートナーだ」と、声を大にして言いたいのです。

「こんなことで困っている」

「こんなものは作れないか」。

ぜひ、あなたの声を聞かせてください。

私たちも、持てる技術と情報のすべてをもって、全力でお応えします。その対話と挑戦の先にこそ、これからの時代の新しい漆器の姿、そして産地の未来があると、私は信じています。

お問い合わせは、ホームページからどうぞ。

株式会社末広漆器製作所 代表取締役 市橋

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株式会社末広漆器製作所 担当:市橋(いちはし)

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