耳の痛い真実。職人不足は『企業の危機感の欠如』が生んだ。私たちが選んだ内製化という未来

耳の痛い話をします。職人不足の本当の原因と、私たちが選んだ未来への道。

皆様、こんにちは。株式会社末広漆器製作所の市橋です。 ここ越前では、夏の盛りを迎え、連日厳しい暑さが続いております。窓から見える空の青さと山の緑のコントラストは、一年で最も鮮やかな季節かもしれません。

さて、本日は、この美しい産地の風景とは裏腹に、私たちが抱える根深い課題について、そしてその課題に対する私たちの覚悟について、少し耳の痛い話になるかもしれませんが、包み隠さずお話しさせていただきたいと思います。

この記事のポイント(約300字)

  • あえて問います。職人不足は、本当に「時代のせい」だけでしょうか? 私は、その根源の一部に、私たち企業自身の「危機感の欠如」や、誰かが何とかしてくれるだろうという「他力本願」な姿勢があったのではないかと、自戒を込めて考えています。
  • 「アウトソーシング」から「内製化」へ。 この深刻な課題に真正面から向き合うため、私たち末広漆器は、これまで外注に頼ることも多かった体制を改め、自社で技術者を一から育て、技術を蓄積していく「内製化」へと大きく舵を切る決断をしました。
  • なぜ「内製化」なのか。 それは、技術の継承はもちろん、品質管理の徹底、開発スピードの向上、そして何より、社内に多様な技術が揃うことで新しい挑戦が生まれやすくなるからです。これは、未来を自らの手で創り出すための、私たちの覚悟です。
  • 地道な一歩こそが未来を創る。 内製化は時間もコストもかかる、いばらの道です。しかし、この一つひとつの地道な問題解決の先にしか、企業として、そして産地としての未来はない。私たちはそう信じています。

耳の痛い話ですが、敢えて言わせてください

「職人の高齢化、後継者不足は、企業の危機感の欠如が原因である」。

この言葉を口にするのは、非常に勇気がいります。産地で働く多くの仲間たちを批判するように聞こえるかもしれません。しかし、これは他人事ではなく、何よりもまず私自身、そして私たち末広漆器製作所自身に向けた、厳しい自戒の言葉です。

時代の流れや若者の価値観の変化など、外部に原因を求めるのは簡単です。しかし、本当にそれだけでしょうか。職人がいなくなっていく現状を前に、「誰かが育ててくれるだろう」「どこかにまだ頼める職人さんがいるだろう」と、問題を先送りにしてこなかったか。若者が「ここで働きたい」「この技術を身につけたい」と思えるような、魅力ある職場環境や未来へのビジョンを、私たち企業側が本気で提示してこられたのか。

その問いに、私は胸を張って「はい」と答えることができません。だからこそ、私たちはまず、この問題の根源が自分たちの内側にあることを認め、正面から向き合うことから始めなければならないと決意しました。

「誰かがやってくれる」では、未来はない

越前漆器産地は、古くから分業制によって支えられてきました。木地を作る木地師、下地を塗る下地師、漆を塗る塗師、そして絵を描く蒔絵師…。それぞれの専門家が最高の仕事をし、リレーのように繋いでいくことで、一つの素晴らしい製品が完成します。このアウトソーシング(外注)を基本とした仕組みは、効率的で、高い品質を生み出すための優れたシステムでした。

しかし、その一方で、各工程の担い手がいなくなってしまった時、サプライチェーン全体が立ち行かなくなるという、非常に脆い構造でもあります。そして今、まさにその危機が現実のものとなっています。

「誰かがやってくれる」という他力本願な考え方では、この問題は決して解決しません。産地の未来、ひいては自社の存続を本気で考えるならば、もはや他者に依存するのではなく、自らの力で未来を創り出す覚悟が求められているのです。

私たちの答えは「内製化」。自らの手で未来を創る覚悟

その覚悟の証として、私たち末広漆器製作所が下した大きな決断。それが、「アウトソーシングから内製化への転換」です。

これまで外注に頼ることも多かった専門的な技術工程を、一つずつ社内に取り込み、自社で技術者を育成していく。もちろん、これは簡単なことではありません。設備投資も必要ですし、何より、一人前の職人を育てるには、途方もない時間と情熱、そして忍耐が必要です。まさに、いばらの道です。

しかし、この困難な道を選ぶことこそが、生き残りのための唯一の一歩だと、私たちは信じています。なぜなら、「内製化」には、計り知れないメリットがあるからです。

  • 技術の継承と蓄積: 若い人材を採用し、経験豊富な先輩から直接技術を学ぶ。そうすることで、これまで個々の職人の中にあった暗黙知が、会社の「資産」として蓄積され、次の世代へと確かに受け継がれていきます。
  • 品質とスピードの向上: すべての工程が社内にあることで、品質管理を徹底できます。また、お客様からのご要望や試作品の製作にも、外注先との調整なく迅速に対応でき、開発スピードが格段に向上します。
  • 新しい挑戦への土壌: 塗装、印刷、コーティングなど、様々な技術を持つ人材が同じ場所で働くことで、部門の垣根を越えたコミュニケーションが生まれます。「この技術とあの技術を組み合わせたら、面白いものができるんじゃないか?」そんな化学反応こそが、これまでにない革新的な商品を生み出す土壌となるのです。

小さな一歩の先にしか、大きな未来はない

「一つづつの問題解決が、大きな結果として返ってくる」。 私はこの言葉を信じています。

職人がいないなら、育てる。必要な技術がないなら、自ら確立する。目の前にある課題から逃げずに、一つひとつ、地道に、そして愚直に向き合っていく。遠回りに見えるこの道こそが、未来へ続く最も確かな道だと信じています。

私たちのこの挑戦は、まだ始まったばかりです。しかし、この小さな一歩が、いつか私たち末広漆器製作所を、そして願わくば、この越前漆器産地全体を、より強く、より魅力的な場所にしていくと信じて、これからも歩みを進めてまいります。

厳しいお話に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。 私たちの覚悟と挑戦を、どうか見守っていただけますと幸いです。

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株式会社末広漆器製作所

代表取締役 市橋

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