【経営者の覚悟】「産地なのに、ものが作れない」越前漆器・河和田塗りの危機。生き残りの道は”内製化”と”自力”への転換
【この記事のポイント:約300字】
越前漆器の産地、福井県鯖江市河和田。今、私たちは「産地でありながら、ものが作れない」という深刻な危機に直面しています。これは職人の高齢化、後継者不足による生産力の低下が、放置されてきた結果です。この問題は漆器に限らず、多くの伝統工芸産地が抱える死活問題と言えます。 私たち末広漆器製作所は、この現状を打破する鍵は「他力」から「自力」への意識変革、そして「外注化」から「内製化」への体制転換にあると考えています。従来の分業制がリスクとなりつつある今こそ、経営者が覚悟を決め、新しい生産体制を確立し、自ら行動する時です。この記事では、産地のリアルな課題と、私たちが考える未来への処方箋をお伝えします。

はじめに:「待ったなし」産地に迫る静かな危機
株式会社末広漆器製作所、代表の市橋です。 いつも私どものブログをご覧いただき、ありがとうございます。 福井県鯖江市河和田地区は、越前漆器の産地として長い歴史を誇り、私たちもここで日々ものづくりに励んでいます。
しかし、今日は皆様に、この産地が今まさに直面している、非常に厳しい現実について、包み隠さずお話しなければならないと思っています。 それは、「産地でありながら、ものが作れない」という、あってはならない状況が、すぐそこまで迫っている、いや、すでに始まっているという「待ったなしの危機」です。
これは対岸の火事ではない。産地が抱える「死活問題」
「伝統工芸の産地が大変だ」という話は、皆様も耳にしたことがあるかもしれません。 しかし、私たちが肌で感じている現実は、想像以上に深刻です。
- 後継者問題・高齢化問題: 「職人さんが減っていてね」というレベルではありません。素晴らしい技術を持つ職人さんたちがご高齢になり、あと数年で引退されるという状況が、産地のあちこちで同時に起きています。そして、その技術を受け継ぐ若手が、絶望的に足りていません。
- 生産力の低下: 職人が減れば、当然、産地全体の生産能力は低下します。以前なら「産地にお願いすれば、何とかしてくれる」と思われていたかもしれませんが、今は「お願いしても、受けてくれる人がいない」「納期が全く見えない」という事態が起こり始めています。
- 「ものができない」という現実: これが何を意味するか。お客様からご注文をいただいても、それを作る職人さんや工房がなければ、受注することすらできないのです。「産地」という名前はあっても、実質的な生産機能が失われつつある。これは、産地にとって「死活問題」です。

なぜ、こうなってしまったのか?
この問題は、昨日今日に始まったことではありません。 何十年も前から予測されていたにも関わらず、産地全体として、また個々の企業として、根本的な対策を「放置してきたツケ」が、今、一気に噴出しているのです。
「誰かがやってくれるだろう」「行政が何とかしてくれるだろう」 そんな「他力本願」な空気が、この深刻化を招いた一因であると、私は痛感しています。
そして、この問題は越前漆器に限った話ではありません。 先日、話を聞いた陶器の産地でも、全く同じ問題(職人の高齢化、後継者不足、生産体制の崩壊)に直面しているとのことでした。これは、日本の「ものづくり」全体が抱える構造的な課題なのです。
従来の「分業制」が「リスク」に変わった日
越前漆器をはじめ、日本の伝統工芸産地の多くは「分業制」によって支えられてきました。
木地を作る人、下地を塗る人、中塗りをする人、上塗りをする人、蒔絵を描く人…。それぞれの専門家が高度な技術を発揮し、バトンを繋ぐことで、高品質な製品を生み出してきたのです。
この分業制は、効率的で高品質なものづくりを実現する素晴らしいシステムでした。しかし、今や、この分業制が「リスク」でしかなくなっています。
なぜなら、バトンリレーの走者(職人)が一人でも欠けてしまったら、そこで流れが完全に止まってしまうからです。
「あの工程ができるのは、もうあの工房(あの職人さん)しかいない」 もし、そこが廃業してしまったら? 産地全体として、その製品を作ることができなくなってしまうのです。 これまで強みであった専門特化が、今や産地全体の脆さ、弱点となってしまっているのです。

生き残りのキーワードは「内製化」と「自力」
では、この絶望的な状況を前に、私たちはただ手をこまねいているだけなのでしょうか。 いいえ、決してそうではありません。 嘆いているだけでは、何も生まれません。未来は作れません。
私たち末広漆器製作所が、これから産地で生き残り、お客様に価値を提供し続けるために必要だと考えているキーワード。 それは、以下の3つです。
1. 他力から自力への「意識チェンジ」
まず、全ての土台となるのが意識の変革です。 「誰かがやってくれる」という他力本願な考えを捨てること。産地の仕組みに依存するのではなく、自社が主体的に考え、行動する「自力・自立」の精神を持つこと。 厳しいようですが、この意識チェンジができなければ、もはや生き残ることはできません。
2. 外注化から「内製化」へのシフト
これまで分業制のもと、「この工程はA工房へ」「あの作業はBさんへ」と外注(外にお願い)するのが当たり前でした。 しかし、その外注先がいつなくなってもおかしくないのが今の現実です。
であれば、どうするか。「自分たちでできることは、自分たちでやる」 つまり、「内製化」を進めるしかありません。
もちろん、全ての工程を自社で完結するのは容易ではありません。設備投資も必要ですし、何より技術を持つ人材の育成(あるいは確保)が必要です。 しかし、この「内製化」こそが、生産がストップするリスクを最小限に抑え、品質を自社でコントロールし、お客様に対して「私たちは、ちゃんと作れます」と胸を張って言える、唯一の道だと考えています。
3. 「新しい生産体制」の確立
内製化を進めると同時に、現代に合った「新しい生産体制」を確立することも急務です。
昔ながらのやり方だけを踏襲するのではなく、品質を維持・向上させながらも、より効率的に、持続可能な形で生産できる仕組みを再構築しなければなりません。
これには、新しい技術の導入や、若手が技術を習得しやすいような教育システムの構築も含まれます。伝統を守るとは、古いやり方に固執することではなく、本質的な価値(技術や美意識)を未来に繋ぐための「変化」を受け入れることだと考えます。

最後は「経営者の覚悟と決断と行動」
「内製化」も「新体制の確立」も、口で言うのは簡単ですが、実行するには大変なエネルギーとコスト、そして痛みを伴います。 従来のやり方を変えることへの抵抗もあるでしょう。 しかし、産地が「死ぬ」か「生きる」かの瀬戸際に立たされている今、必要なのは理屈や評論ではありません。
最後は、私たち経営者一人ひとりの「覚悟」と「決断」、そして「行動」でしか、この状況を打開することはできないのです。
私たち末広漆器製作所は、この厳しい現実から目をそらさず、代表である私自身が先頭に立ち、「自力」で考え、「内製化」と「新体制の確立」という困難な課題に挑戦していく覚悟です。
産地の危機だからこそ、私たちにできること
この記事を読んで、「そんな大変な状況なら、注文しても大丈夫か?」と不安に思われたお客様もいらっしゃるかもしれません。 しかし、私たちは逆だと考えています。
産地がこういう状況だからこそ、自らリスクを認識し、「内製化」や「新体制」の構築に本気で取り組もうとしている会社こそが、今後も安定的に製品をお届けできる可能性が高いのではないでしょうか。
- 「これまで頼んでいた産地の工房が、廃業してしまって困っている」
- 「新しい製品開発(OEMなど)を相談したいが、今の産地の体制では不安だ」
- 「品質と納期をしっかり管理できる、信頼できるパートナーを探している」
もし、そのようなお悩みをお持ちの企業様、デザイナー様、飲食店の皆様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、私たち末広漆器製作所にご相談いただけませんでしょうか。
もちろん、私たちが今すぐ全てを完璧に内製化できているわけではありません。
しかし、その方向に舵を切り、覚悟を持って行動を起こしていることは事実です。
お客様が抱える課題に対し、「自力」で考え、新しい体制で何とか応えようと努力することをお約束します。
産地は危機的状況ですが、私たちは、まだ諦めていません。
この危機を「変化のチャンス」と捉え、行動し続けることでしか、未来は拓けないと信じています。
越前漆器・河和田塗りのものづくりを、未来に繋ぐために。 皆様からのご連絡、ご相談を心よりお待ちしております。
【お問い合わせ・ご相談はこちら】
「産地の現状についてもっと聞きたい」 「こんな製品は作れないか?」 「安定供給のパートナーとして相談したい」 どんなことでも、まずはお気軽にご連絡ください。
株式会社末広漆器製作所 担当:市橋(いちはし)
- お電話でのお問い合わせ:
- TEL: 0778-65-0295
- 携帯: 080-3474-0938 (「産地の記事を見た」とお伝えいただくとスムーズです)
- FAXでのお問い合わせ:
- FAX: 0778-65-2865
- メールでのお問い合わせ:
- Mail: info@suehiro-shikki.com (件名に「産地体制についての問い合わせ」とご記入ください)
- LINEでのお問い合わせ:
- LINE ID: suehiroshikki
- または、携帯番号 08034740938 で検索してお友達追加後、メッセージをお送りください。
公式ウェブサイト: https://suehiro-shikki.com/