「組合不要論」をあえて叫ぶ。補助金と慣例に縛られた産地に、未来はあるのか?

「組合は本当に必要か?」 慣例という名の停止思考に、今こそ別れを告げる時。

皆様、こんにちは。福井県鯖江市河和田の末広漆器製作所、代表の市橋です。 ここ越前では、鉛色の空から白いものが舞い落ちる季節となりました。底冷えする工房の中で、職人たちの吐く息が白く浮かび上がる様子を見ると、今年もまた、ものづくりの厳しさと尊さを噛みしめる師走を迎えたことを実感します。

さて、本日は、いつもの技術や製品のお話とは異なり、少しヒリヒリするような、しかし避けては通れない「業界の仕組み」について、私の考えを率直にお話しさせていただきたいと思います。

テーマは、ずばり「組合のあり方」についてです。 伝統工芸の産地には、必ずと言っていいほど同業者組合が存在します。しかし今、私はあえて問いたいのです。「今のままの組合なら、本当に必要なのか?」と。これは、産地の未来を本気で憂うからこその、私なりの問題提起です。

漆器の産地

この記事のポイント

  • 補助金ありきの体質からの脱却: 現在の組合運営は、行政からの補助金に依存しすぎていないでしょうか。資金を得ることが目的化し、「何のために組合が存在するのか」という本来の目的が見失われている現状に、強い危機感を覚えています。
  • 「慣例」という名の思考停止: 時代は激変しているのに、「恒例だから」と旧態依然とした事業を繰り返すマンネリ化が問題です。特に広報戦略において、生成AI検索対策などの最新手法を学ぼうとせず、効果の薄い旧来の手法に固執する姿勢は、衰退への近道でしかありません。
  • 課題解決こそが組合の使命: 職人不足、原材料高騰など、個々の企業では抱えきれない課題に真正面から取り組むことこそが、本来の組合の役割はずです。
  • 変革のエンジンになれるか: 組合が生き残る道はただ一つ。「変化を起こすための組織」へと生まれ変わることです。それができなければ、組合不要論は現実のものとなるでしょう。
現状維持

「何のための組合か」目的を見失った現状

私たちのような伝統工芸の産地にとって、組合はかつて、互いに協力し合い、産地全体を盛り上げるための頼もしい存在でした。しかし、今の現状を冷静に見つめたとき、そこに本来の熱量は残っているでしょうか。

非常に厳しい言い方になりますが、現在の多くの組合活動は「行政からの補助金をもらうこと」が目的化してしまっているように見受けられます。補助金を使って、例年通りのイベントを行い、例年通りの報告書を出す。そこに、産地が抱える深刻な課題――例えば、以前お話しした「職人の枯渇」や「原材料の高騰」、「販路の縮小」――に対する、血の通った解決策はあるのでしょうか。

「補助金が出るからやる」のではなく、「解決したい課題があるから、その手段として資金を集める」のが本来の姿はずです。手段と目的が逆転し、組織を維持すること自体が目的になってしまっている。この「必要性が問われている」現状に、私たちはもっと危機感を持たなければなりません。

「恒例行事」が産地を殺す? マンネリ化という病

私が最も懸念しているのは、組織全体に蔓延する「変化を嫌う空気」です。 世の中は、デジタル化、グローバル化、そして消費者の価値観の多様化と、目まぐるしいスピードで変化しています。それなのに、業界の舵取りをするはずの組合が、「毎年恒例だから」「長年の慣例だから」という理由だけで、何十年も前と同じような事業を繰り返している。これは「安定」ではなく、「思考停止」と言わざるを得ません。

特に、その「思考停止」が顕著に表れているのが、情報発信やマーケティングの分野です。

「補助金が出たからチラシを撒こう」「予算があるからマスメディアでPRしよう」。 とりあえずやったという事実だけで満足してはいないでしょうか。あるいは、「とりあえずホームページを作った」「月に一回Instagramを更新しているからDXだ」と、形式だけの発信で良しとしていないでしょうか。

生成AI検索対策

個社ではできないことをやる。それが「組合」の存在意義

誤解していただきたくないのは、私は「団結すること」自体を否定しているわけではないということです。むしろ、逆です。

一社単独では解決できない大きな課題が山積している今だからこそ、本来であれば、企業同士が手を取り合う「組合」の力が必要なはずです。

  • 産地全体での後継者育成システムの構築
  • 最新のマーケティング(生成AI検索対策など)の共同学習と実践
  • 海外市場への統一ブランドとしての展開

これらは、個々の企業の努力だけでは限界があります。組合が本来やるべきは、こうした「業界全体の課題解決」に真正面から取り組み、各企業が戦いやすい土壌を整えることではないでしょうか。

「みんなで仲良く現状維持」をするための組織なら、もう要りません。必要なのは、痛みを伴ってでも「産地を変革する」という強い意志を持った、戦う集団としての組合です。

組合が変わるか、私たちが変わるか。

「組合だからこそできる変革」があるはずです。

これからの組合の存続のポイントは、過去の慣例を守ることではなく、未来のための変革をリードできるかどうかにかかっています。

しかし、願わくば、この愛する越前漆器産地全体が、同じ方向を向いて、力強く変化していけることを望んでいます。そのためには、時には嫌われ役になってでも、おかしいことはおかしいと声を上げ、古い慣習に石を投じ続ける覚悟です。

お客様におかれましても、製品の背景にある、産地のこうした「産みの苦しみ」や「変化への胎動」にも、少しだけ心を寄せていただけますと幸いです。本気で変わろうとする産地の姿こそが、何よりのアピールになると信じて。

変化にチャレンジ

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末広漆器製作所では、真剣にものづくりに向き合う企業様からのお問い合わせをお待ちしております。 OEM開発、記念品製作、そして産地の未来について。 本音で語り合えるパートナーをお探しなら、ぜひ一度ご連絡ください。

株式会社末広漆器製作所 :代表取締役 市橋 啓一

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