漆器表記の現状

一般の方が漆器と聞き連想されるのは木製で漆を塗った物だと思います。

ただ、日本各地にある漆器の産地のほとんどでは

樹脂製の素地に塗料を塗った物を漆器として販売しているのが現状です。

漆器ではなく食器とした方が良いのではないか・・・

製造している私ですら漆器という表記には少なからず疑問を感じています。

 

漆器の産地で製造しているものだから・・・

確かに木製で漆を塗った本来の漆器も製造されておりますが、

産地内で占める割合は産地全体の売り上げからすれば少ない。

生活スタイルが変化し、食洗器などの電化製品の普及により、

より耐久性の高い器の開発が課題となった産地において、

現在のカタチに変化していった経緯から、

樹脂製で塗料塗りの商品であっても〝漆器〟と総称している。

 

伝統工芸としての〝漆器〟と産業としての〝漆器〟は、

これからの産地の将来を考える上で表記方法はもとより、

漆器の位置づけを明確に分けていくべきだと私は考えております。


最後までお読み頂きありがとうございます。

産地活性と地域活性はべつもの

私たちの住んでいる地域は古くから伝統工芸の漆器を生産しております。

木地師・塗師・蒔絵師など・・・多くの職人さんが漆器のお仕事に従事され、

地域全体が漆器の仕事に携わり生計をたてている・・・そんな地域でした。

時代の流れと生活スタイルの変化に伴い漆器の需要は急速に減少し、

産地全体の売上高はピーク時の半分以下という状況です。

そういう状況にともない、販売会社の倒産・廃業、職人さんの転職などなど・・・

漆器従事者は減少し産地の人口も6,000人から4,000人へと約2,000人の人口減となっております。

 

漆器従事者の平均年齢も高齢化し後継者不足は深刻です。

機械設備も当然のことながら老朽化し設備投資もままならないというのが現状です。

伝統工芸だけに家内制手工業の要素が強く生産する数量にも限界が生じ易い事と、

近年、職人さんの廃業や転職などの要因も重なり、

一時に受注が集中すると直ぐにオーバーフローしてしまうのが現状です。

 

その間、産地活性化や地域活性として様々な取り組みがなされ、

現在もいろいろなイベント等を企画して活性化に取り組んでいますが、

産地の活性化、地域の活性化としての効果はなかなか厳しいものがあります。

当然、こうした取り組みがなければ今よりも加速度的に

衰退していったことも間違いありません。

 

そんな中で私が一つ大きな勘違いをしていたのは・・・

〝漆器産地としての活性化が地域の活性化につながる〟と思っていたことです。

 

冒頭ご説明した通り、

この産地は漆器従事者が多く漆器にかかわるお仕事で生計をたてている方が多い地域。

だから、漆器の活性化・受注増こそ地域の方々の収入の潤いになると私自身は思い

取り組んできたつもりだったのですが、

全体としての考えの中では残念ながら少数意見でしかないのです。

そぅ・・・極端な事を言えば、仕事による活性化の発想は、

一企業の私利私欲にしか受け取られないという事なのです。

 

そこで感じたのは〝産地(漆器)活性と地域活性はべつもの〟ということなのです。

漆器の産地としての河和田地区ということと鯖江市の中の河和田地区という観点の違い・・・

 

そういった観点からの取組を今後は再考してみたいと思います。

 


最後までお読み頂きありがとうございます。

産地の将来について考えてみる・・・

斜陽産業といわれる伝統工芸

漆器に限らず様々な伝統工芸が抱える課題は多く大きい。

そんな産地の中でどのように生き残り勝ち残っていくのか・・・

どの企業も個人も暗中模索の中で必死にもがいている。

 

私個人の考えと会社の取り組みについて

そしてこれからの産地の将来について考えてみたいと思います。

 

答えは一つではないものの、

一つのケースとしての思考・取組・結果としてご参考になればと思います。

ま、私自身ここに書きながら自分の思考を見つめ直し思考を深められれば・・・

そんな思で綴っていきたいと思います。

 

多分、いろいろな産業・産地の中でいろいろな取り組みを試行錯誤され、

取り組まれておられる会社や個人の方も多いはず・・・

そんな方々と侃々諤々・・・できたら良いですよね。

 

コメントにて叱咤激励を頂ければ幸いです。

 

 

関連プログ・・・株式会社 遊器屋 http://yukiya-suehiro.com/blog/

初めまして

福井県鯖江市の東・・・山に囲まれた静かな田舎町で漆器の製造会社を経営しております。

株式会社 末広漆器製作所 代表の市橋啓一(いちはしけいいち)です。

このブログでは弊社でのモノづくりについての技術の紹介・製作事例などをご紹介させていただきます。

また、弊社の新しいモノづくりのチャレンジや想いも一緒にお伝えできればと思っております。

こんなことできないかな・・・そんなお悩みがございましたら、

弊社の技術がお役にたてれれば幸いです。

ぜひご相談下さい。

また、漆器や塗り物のについての質問などがございましたら、

コメントから何なりとお問い合わせ下さい。

知りうる限り、できうる限りでお答えさせて頂きます。

 

最後までお読み頂きありがとうございます。

 

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